熟練の技術で素材に向き合う作業は、まさに「磨き」の呼び名にふさわしい。
伝統のハムを生み出す作業は、まず「磨き」から始まる。
「磨き」とは、厳選した豚肉からスジ、脂肪、軟骨などを除き、ロース の塊を作ること。芯(赤身)と脂肪のバランスがほどよいハムになるよう、丁寧に「磨く」。素材にはひとつとして同じものはない。肉の状態に合わせ、どうナイフを使うか。その「見極め」にこそ、培われた技が生きる。「ナイフを使えるようになるまでは2、3年」といわれる。
熟練の技術で素材に向き合う作業は、まさに「磨き」の呼び名にふさわしい。
「秘中の秘」といわれる機密事項。とりわけ「秘」とされる工程が漬け込み。
「秘中の秘」といわれる機密事項がある。
「鎌倉ハム富岡商会」のハム作りの中でも、とりわけ「秘」とされる工程が漬け込みだ。「磨き」が終わると、肉は味付けのため塩漬液(ピックル)に漬けられる。
塩漬液(ピックル)液の配合は、ハムの出来上がりを左右する「いのち」。他には決して真似できない「鎌倉ハム富岡商会」独自の知恵がそこにはある。もうひとつ、こだわりの手作業は「手返し」。漬け込みの期間中、味付けがムラなく行き渡るよう、樽の上下の肉を入れ替える。素材は樽の中で熟成し、時を待つ。
工程の中で最も熟練を要する手仕事。人工繊維で巻かれたハムとは味に格段の差が。
言わずとも「語る」ものがある。たとえば、写真の手。
力強さを見る者に伝える指は、長年この作業に携わってきた証だ。漬け込みの後、肉は布に巻かれ、糸で締められ、一本のハムの原型となる。
肉の状態を手で確かめながら、形が崩れないようさらし木綿で固く巻く。時に強く、時に弱く。糸の巻き加減には職人の勘が冴える。素材が形を得る瞬間。
一連の工程の中で、もっとも熟練を要する手仕事である。
木のチップでじっくりスモークする熟練の作業。
人の手で”布巻き”された肉は”燻煙”の段階で味や薫りに微妙な深みが増し、人工繊維で巻かれた肉とは格段の差がある。
”布巻き”の後、一晩冷却され、竿に掛けて”乾燥”。
次はスモークハウスで木のチップで、じっくりスモークする。
最後にスチームでボイルして、一晩冷却されてようやく完成する。